穴を掘る ― 2006/04/01 08:11
地方自治体の補助が出るというので、数年前に電動の生ゴミ処理機なるものを買った。そのお陰で、調理で出るジャガイモの皮とか茶殻などの生ゴミは全部ここに入れればいいので、ゴミの日に捨てるのは、紙くずの類だけになり、ゴミの減量を図ることが出来た。定期的に、出来た堆肥をそこから出し、微生物が入った基材を足す必要があるが、それは家族が担当してくれている。
出来た堆肥は庭木や鉢植えの肥料に使おうと思ったのだが、植木の師匠によると、栄養がありすぎて、すぐには使えないのだそうだ。そんなわけで、たまってくると、庭のすみっこにまんべんなく堆肥をまいて寝かせていたのだが、徐々に小山が出来てきたので、思い切って庭のすみっこに穴を掘ることにした。
何もない、晴れた平日を選んで、スコップ片手にどんどんどんどん掘り進んでいく。
午前中ずっとほり続け、本来の目的ならばもうこれでよかろうというサイズになったのだが、面白くてやめられなくなった。
昼の休憩をはさんで、また掘り進んだ。
穴のあいたところは、家族が落ちないようにシートでふたをして、暗くなる前に作業をおえた。手を見たら豆が出来ていた。
さて、また何の予定もない晴れた平日に、続きの作業を始めた。今度は軍手を着用し、長袖・長ズボン、頭には麦藁帽子、首にはタオルを巻くという重装備。初日に出来た豆も、ほぼ完治している。
かなり順調に掘れてきて、穴の中に入ると、肩ぐらいまでの深さになってきた。細く深くをモットーにしているから、人間ひとりがかろうじて入れるかどうかの穴である。こつんと何かがあたったので、調べてみると、その辺の地層から、なんと貝殻が一杯出てきた。
もしかすると、これは貝塚ではないか。確かに家のベランダからは海が見えるが、海岸まで行くには、歩いても20分はかかる。しかし昔はこの辺も海だったのかもしれない。このあたりは昔は畑だったらしいが、遠い祖先たちが、貝を取って集落を作っていたのではないか。とりあえず、このことは誰にも話さずに、シートで覆って作業を終えた。
またまた、晴れた何の予定もない平日(それも家族が出払った日を選んで)、ひとりでせっせと穴を掘り続けた。
中に入って土を外にかきだすのだが、もうかなり深くなってきて、身長はすっぽりと隠れるほどになった。そこでまたこつんと何かが当たった。取り出してみると骨である。人骨か、あるいは獣の骨なのか、図鑑で調べなくてはと思ううち、これまた貝塚のごとくどっさり出てきてしまった。ビニールに、いくつかの骨を大事に入れて保管することにした。
この集落には、死んだ人達を埋める墓地も一緒にあったのだろうか。いや、考えると、この住宅街の裏山には今でも狸が出たりするらしい。この集落の人達は海産物と山からの動植物と両方を上手に取って食料としていたのではないだろうか。色々な仮説が頭をよぎる。周囲に知られたら、大変な事になるぞ。この遺跡を何と名づけようか。私が発見したのだからして、「ころ集落」というのは、どうだろうか。あれこれ夢を膨らませつつ、その日も作業を終えて、シートで穴を覆った。
この秘密をいつまで隠し通せるのか。
もう同居家族に話したくてうずうずしているのだが、事をせいてはいかん。
ゆっくり、じっくり、慎重に行け!・・・と自分に言い聞かせる私なのであった。
出来た堆肥は庭木や鉢植えの肥料に使おうと思ったのだが、植木の師匠によると、栄養がありすぎて、すぐには使えないのだそうだ。そんなわけで、たまってくると、庭のすみっこにまんべんなく堆肥をまいて寝かせていたのだが、徐々に小山が出来てきたので、思い切って庭のすみっこに穴を掘ることにした。
何もない、晴れた平日を選んで、スコップ片手にどんどんどんどん掘り進んでいく。
午前中ずっとほり続け、本来の目的ならばもうこれでよかろうというサイズになったのだが、面白くてやめられなくなった。
昼の休憩をはさんで、また掘り進んだ。
穴のあいたところは、家族が落ちないようにシートでふたをして、暗くなる前に作業をおえた。手を見たら豆が出来ていた。
さて、また何の予定もない晴れた平日に、続きの作業を始めた。今度は軍手を着用し、長袖・長ズボン、頭には麦藁帽子、首にはタオルを巻くという重装備。初日に出来た豆も、ほぼ完治している。
かなり順調に掘れてきて、穴の中に入ると、肩ぐらいまでの深さになってきた。細く深くをモットーにしているから、人間ひとりがかろうじて入れるかどうかの穴である。こつんと何かがあたったので、調べてみると、その辺の地層から、なんと貝殻が一杯出てきた。
もしかすると、これは貝塚ではないか。確かに家のベランダからは海が見えるが、海岸まで行くには、歩いても20分はかかる。しかし昔はこの辺も海だったのかもしれない。このあたりは昔は畑だったらしいが、遠い祖先たちが、貝を取って集落を作っていたのではないか。とりあえず、このことは誰にも話さずに、シートで覆って作業を終えた。
またまた、晴れた何の予定もない平日(それも家族が出払った日を選んで)、ひとりでせっせと穴を掘り続けた。
中に入って土を外にかきだすのだが、もうかなり深くなってきて、身長はすっぽりと隠れるほどになった。そこでまたこつんと何かが当たった。取り出してみると骨である。人骨か、あるいは獣の骨なのか、図鑑で調べなくてはと思ううち、これまた貝塚のごとくどっさり出てきてしまった。ビニールに、いくつかの骨を大事に入れて保管することにした。
この集落には、死んだ人達を埋める墓地も一緒にあったのだろうか。いや、考えると、この住宅街の裏山には今でも狸が出たりするらしい。この集落の人達は海産物と山からの動植物と両方を上手に取って食料としていたのではないだろうか。色々な仮説が頭をよぎる。周囲に知られたら、大変な事になるぞ。この遺跡を何と名づけようか。私が発見したのだからして、「ころ集落」というのは、どうだろうか。あれこれ夢を膨らませつつ、その日も作業を終えて、シートで穴を覆った。
この秘密をいつまで隠し通せるのか。
もう同居家族に話したくてうずうずしているのだが、事をせいてはいかん。
ゆっくり、じっくり、慎重に行け!・・・と自分に言い聞かせる私なのであった。