「マルサの女」2005/12/07 10:12

 先日、有料放送がスクランブル放送を解除していて、家族が伊丹十三監督の「マルサの女」を見ていた。
私は家事をしながら、時折画面を追う程度。

 伊丹監督の映画は、「お葬式」から始まり、順番は、よくおぼえていないし、途中抜けているかもしれないが、「タンポポ」、「マルサの女」の1と2、「あげまん」あたりまでは映画館に足を運んだ記憶がある。あとの映画は、レンタルビデオかテレビで見たんじゃないのかな。

 伊丹映画は、個性派の俳優が沢山出てきて、なかなか凝って作られているので、普段は洋画一辺倒の私が、寅さん映画と共に、足しげく通った覚えがある。

 今回、久々に見てびっくりしたのは、当時は当たり前のようにしていただろうことが、今見てみると、すごく古い感じがすること。

 タバコをスパスパところかまわず吸っているシーンなんかも、今ではちょっと考えられない。分煙という言葉は、あの当時にはなかった。
(今は、WHOが喫煙の職員を採用しないっていう時代だもんね~)

 あとは、公衆電話。
内部告発のシーンだったので、公衆電話でかけてくるのはいいとして(逆探知なんかがあるだろうから)、その電話がピンク色の公衆電話なのだ。今は緑か、灰色の愛想のないやつで、それも探すのが大変な程。
ロケ地がどこかは分からないが、通行人が大勢歩いているところからして、都会の目抜き通りだろう。こんなところに、ボックスタイプでもなんでもない、昔、薬局の店先にあったような公衆電話は、今はめったに見かけない。

 それから携帯電話。
登場人物が肩からかけたでっかい箱についた電話が鳴ると、受話器をぱっと取って、査察に入るのだが、受話器も大きいし、本体も大きいぞ。
まだ携帯電話所持暦は1年ちょっと程度の私でも、この携帯電話はないんじゃないか、って感じだった。

 でも、当時はこれだってものすごく便利な、最新の道具だったはずだ。
おそらく普通の人は絶対にもっていなかったと思う。
(確か、その前後に友達と香港旅行をして、香港の人がみんな、携帯電話を手に持って町中で話していたのが印象に残っている。日本では、まだまだ見慣れぬ風景だったのだ。)

電話機本体の値段も、通話料だってとても高かったのではないか。
これを見ながら、「さすがマルサ」と観客が思うような、格好のいいシーンに使われていたのだもの。

 この映画が作られたのが何年前かなんてことは、今はちょっと正確には数えたくない気持ちだけれど、自分では、「ついこないだ」みたいなことが、もうこんなに変わってきてるんだと、本当にびっくりした次第。

 久々にちょろちょろっと見た映画だったが、ラストだけはしっかりテレビの前に正座して(本当か??)見た。

当時の、山崎努っていくつぐらいだったんだろう。その格好よさったらなかった。
数年前のビールの宣伝の、「卓球親父」をイメージしている人がいたら、是非、この映画を見て開眼して欲しい!
(実際に、映画館で最初に見た当時は「やなオヤジ」って印象しかなかったので、私もそれなりに年と共に成長したんでしょうな・・・)

あとは、やはりテーマソングがすごくいい。
映画と一体化していて、絶対に切り離しては考えられないインパクトがある。
一度聞いたら忘れられない、こんなメロディが、そうそうあるものではない。

 今、伊丹監督が生きていたら、また違った現代の「マルサの女」が撮れたと思うと、本当に残念・・・。