デコレーションケーキ2005/12/11 19:25

 今は、美味しいものが、ちまたにあふれている。
ちょっと前までは、都会にしかなかったような洋菓子店が、地方にも支店を出す。

 そんな贅沢な時代だから、今はクリスマスのデコレーションケーキといっても、まず生クリーム以外にはお目にかかれないかんじがする。コンビニのクリスマスケーキだって皆生クリームが乗っているもんね。

 まだ私が子供で、家族が皆一緒に住んでいた頃、クリスマスケーキは奮発して、毎年、生クリームを買っていたような気がする。
しかし誕生日ケーキ、となると、ちとわけが違う。

 当時、近所にあったケーキ屋さんは、夫婦が細々とやっていたのだが、結構素朴で美味しかったと思う。
まぁ、何しろ商店街にケーキ屋といったらそこだけだったので、重宝していた。
誰かの誕生日が近くなると、そこに数日前に行って予約をする。
「○○ちゃんお誕生日おめでとう」という文字をチョコレートで必ず書いてもらって、ろうそくも、まぁ「15本」とは言えないから、適当にさばをよんでもらってくる。

 その時に一番迷うのが、クリームをバタークリームにするか、生クリームにするか、ということなのだ。

 バタークリームの方が、だいぶ価格が安かったような気がする。生クリームに比べれば日持ちもするし、昔は結構、ポピュラーだったと思う。
最初は分からなくて安くて大きい方を迷わず頼んだのだが、食べてみると、生クリームのような、ふわっと感はなく、「ちょっと違うな」という顔を子どもは皆、食べながらしていた。

 それ以後、ずっと生クリームで統一していたかというと、経済観念があったのかどうなのか、バタークリーム、時々、生クリームだった気がする。質より量・・・の年代だったのかもしれない。バタークリームなら同じ金額でも大きいホールが買えたからね。それに、やっぱり甘くて、美味しかったし。子どもの味覚なんて、そんなもん。

 今でも思い出すのは、狭い店頭で、おばさんに「どっちにする?」と聞かれて、うーむ・・・と、考え込んでいる自分の姿。

 そんなバタークリームだけれど、今では時折、洋菓子でお目にかかることはあっても、1ホールの、丸い大きなケーキでお目にかかることはあまりない気がする。
今もしそんなケーキがあったら、ちょっと食べてみたいな・・・。バタークリームを口に入れた瞬間に、昔の家族との思い出がよみがえる・・・。

 あ、本当にひとつ、思い出したぞ!

 昔、むか~し、私の幼いきょうだいが、誕生日ケーキを母親と買ってきた。
得意げに息せき切って
「ケーキ、買ったよ~!」と帰宅し、その箱を持ったまま、どたっと玄関でころんでしまったのだ。
母親に言われて、家までは大事に大事に持ってきただろうに、帰宅したとたんに、ほっとしたのと、無事に着いた嬉しさとが炸裂したんだろうね。

 その時のきょうだいの、くやしそうな泣きべそと、皆で大笑いしたことは、よく覚えている。でも、それが、一体誰の誕生ケーキだったのか、そして、ケーキがどの程度つぶれてしまっていたのかは、残念ながら記憶にない・・・。
(本人のケーキだった気もする。それならば、くやしさ倍増・・・だろう。)

 ・・・と、「ケーキ」ネタで、つなげてきたが、実は、何を隠そう、今日は私の誕生日。
いや~、めでたい!(…と、言っておきましょう!)
私が今日、誰と、どんなケーキを食べたのか・・・、それは秘密です。