ころちゃんブログ（手描きイラスト＆雑文）

　月に２度ほど顔を合わせる、ヒゲを蓄えた知人がいるのだが、ある日会うと、口回りも顎まわりも、すっきりさっぱりと、つるんとした顔になっていて、非常に驚いた。

　理由を聞くと、「別に、何となく･･･」ということだったが、彼の中学生になる子供は、生まれて以来、ヒゲのお父さんしか見た事がなかったそうだ。
たまに会う私でも相当びっくりしたのだから、子供は当分の間、違和感があったのではないだろうか。

　ヒゲを蓄える人は、20代後半～30代ぐらいあたりからはじめるのではないか。
やはり童顔の人が多い気がする。
その人も、若い頃、今の仕事を自分で始めるに当たり、「なめんなよ！立派な大人なんだぜ！」というようなことでヒゲをはやしたのではないだろうか。

　そして、何十年か経ったある朝、ふと鏡を見た時に、十二分に中高年に差し掛かっている己に気付いて、
「もう、ヒゲなしの、素の自分でやっていこう」と思ったのかもしれない。
確かにヒゲがないその人は、見慣れてみると、その年齢にしては、いい意味での若々しさみたいなものもあって、かつもう立派な大人だぜ的要素も加わり、実にいい味を出していた。（もっとも、その人の若いときは知らないので、なんとも言えないのだが･･･）

　身近な人だと、父方の祖父が、口ヒゲを蓄えていた。地元の名士みたいな人だったと聞くから、おそらくは同じような理由でヒゲをたくわえていたのかもしれない。
　ヒゲのない、おじいさんの顔を想像することは出来ないが、考えてみると、今の自分の父親のつるんとした顔（髪の毛は一応まだある）が、年齢的にも、かなり近いのかもしれない。

「年齢の割に若く見られる」「同窓会で、若いと褒められた」と、調子のいい時には、やたらに見かけの若さを売りに、ほくほくしている現在の父であるが、30～40代の頃は太り気味だったし、ごっつい度の厚いメガネをかけていたため、ヒゲを必要としなかったのかもしれない。

　それと、ヒゲをはやすっていうのは、結構おしゃれな人だと思う。殊に口ヒゲは、きれいに切りそろえておかないと、見苦しく汚らしい。
だから、私の父は、本当の意味でのしゃれっけの（つまり手間隙をかけてまで…という意味）ある人ではないのだろうと思う。

　不思議なのは、その今は亡きおじいちゃんは、海苔が嫌いだったということ。
口蓋にくっついたりするのが嫌だったようなのだが、そんなら口ヒゲはどうなんだ？邪魔じゃなかったのか？と、出来ることなら聞いてみたい。

「口ヒゲは、毎朝きれいに刈りそろえていたから、邪魔にならんかったんじゃ」と、言うのかどうか･･･。
でも、写真の中のじいちゃんのヒゲは、いつ見ても、クールで格好いい！