ハーブ&ドロシー2011/01/31 16:42


ハーブ&ドロシー

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ハーブ&ドロシー

 ドキュメンタリー映画、「ハーブ&ドロシー」を見てきた。この映画は今ちょっと話題になっているらしく、彼らを真似て、若手の芸術家の作品を買って家に飾っている日本人のことがNHKで取り上げられていた。

 実際に観てみると、夫ハーブは芸術を大学で学んでおり、働く傍ら、当初は自分が前衛絵画を描いていたし、奥さんも夫と共に絵を描きながら、自らも芸術にはまりこんでいく。素人というよりは、審美眼を兼ね備えたプロであると認識。

 感心したのは終始一貫したぶれのなさである。私の描いた最初の絵は、彼らの家に飾ってあった、鉛筆の線を模して作った針金アート。形が変形してしまう難点がある。

 二枚目は、壁に斜めにかざってあったアート。3番目は白い額の白い絵。記憶で描いているので違うところが多いと思うけれど、いずれにしても私たち素人にすると、「なんじゃこりゃ」の作品ばかり。

 しかしハーブは、彼らの作品の完成途中のものが床におちているのを見つけた買ったり、以後も同じ作家の作品を買い続ける事で、発展していく彼らの世界を追い続けていく。

 奥さんのドロシーは、そんな夫の購買意欲の裏で、きちんと計画を立ててお金を返済していき、貧しくとも、彼らの生活が破綻することはない。

 さまざまなアトリエに足を運ぶ彼らの目の生き生きとしているところが、なんていったって素晴らしい。

 投資目的で絵画を買いあさる世界もあるが、買った作品が暴落したところで、彼らは所有しているアートを絶対に売らないから、損をすることもない。

 ぶれのなさ、生き生きした眼、そして最後にドロシーがパソコンを買う時の、てきぱきした店員とのやりとりに脱帽といった感じがした私である。

 ほんと、とても真似は出来ないけれど、彼らみたいに常に生き生きとした心を持ちながら生きていけたらいいだろうなぁ。