食堂かたつむり ― 2010/02/10 22:01
柴咲コウ主演の「食堂かたつむり」という映画を見てきた。
山田洋二監督の「おとうと」にしようかギリギリまで迷ったのだが、最後の決め手は、映画の宣伝の写真で、主演の柴咲の後ろに、ちらっと見えているステンドグラスだった。
実際、この映画は、手仕事のオンパレードである。母親の家の物置で、「食堂かたつむり」を開くので、料理が主役だが、そこで着る服の刺繍は、主人公、倫子が自分で施している。
窓ガラスにかけた柄布やら、倫子が持っているパッチワーク風のバック、壁面にビー玉やタイルをはめこむモザイクも手仕事。
そして、ステンドグラスも、食堂の窓やランプ、あちこちに配置されていて、期待以上だった。
私は、料理は一応まぁやるし、パンも焼く。パッチワークとステンドグラスを習っているので、映画の中のちょっとした小物を見ているだけで、幸せな気分になった。
殊に圧巻は料理である。倫子の作る料理で皆元気になっていくのだが、おいしい食べ物は、他に代えられない贅沢であり、幸せだもんね。
「食堂かたつむり」は、手間隙かけて、一日一組限定で、心を込めて料理するのだ。
材料を並べ、煮込んで形もくずれちゃうというのに、中の具のひとつひとつをパッチワークみたいに、鍋にきれいに並べてから火にかけ始めたり。素材をいとおしむように眺めてから作り始めるのもいい。
普段、短時間でちゃちゃっと料理をしている私は、かなり反省させられた。
また、今まで自分が使ってきた台所のことも合わせて思い出した。
家族5人で生活していたときの、カウンターキッチンの台所。ここは高校生から使い始めた。
一人暮らしをはじめた時に初めて自分の台所が出来て嬉しかったこと。12年前の二世帯住宅への改築でもささやかな自分の台所の存在に、心躍ったこと。
そして、おととし、リフォームで憧れだったシステムキッチンが入った時の嬉しさ等々…。
ちょうど先週末に、家庭でケーキを作ったり、パンやピザを焼いたりしたところだったので、やはり手仕事はいいなとしみじみ思った。自分も楽しいし、家族と一緒に美味しさを分かち合える。
映画自体も、CGなどの描写が可愛いし、涙もあり、笑いもありで、最後にちょっと元気になる話だった。
小川糸さんという、私より若い女性が書いた小説がもとになっているので、今度は原作を読んでみたいなぁ。