渡辺淳一著「鈍感力」2007/06/28 09:29

 遅ればせながら、「鈍感力」という本を読んだ。

 週刊誌に連載されていたものを本にまとめたそうで、なかなか読みやすい。
渡辺淳一というと、不倫小説というイメージがあるが、そうか、この方は昔、外科医だったのだなぁ・・・という事が分かった。

 この本は、NHKなどでも何度も取り上げられて、こんな本らしいと分かってから読んだので、予想外の内容ではなかった。

 しかしシンプルな切り口ながらも、鈍感力を持つことで、しぶとく生きていこうという、最近の若者に対する力強いメッセージが、そこに込められている気がした。

 不倫も鈍感力がなくては出来ないという項目は、この人ならではの章だなぁと思ったけれども、まぁそうなのかも。
相手に妻や子供がいて、それでも恋愛を続けていくには、色んな事を目をつぶる必要があるんだろう。

 私は、一緒に暮らしている家族に「瞬間湯沸かし器」と呼ばれている。
ささいなことで、すぐにかっとなって、怒ってしまうのだが、その沸点を、もう少し遅らせるようにするのも手なのかな。

 なんでも気持ちの持ちよう一つなんだろうね。
腹を立てるのは、なんだか本当に疲れるし、後味も悪いもんね。

 あとは、相手に期待しすぎないことも大事なんだろうか。
だって、自分の気持ちだって思うようにならないのに、ましてや他人が思い通りに動くなんて、絶対にありえないことだもん。
それを期待するから、そうならないことに対して、腹が立つ。

 読後感としては、なるほどと納得しながらも、そこは人間の性格というのがあるので、絶対に「鈍感力」たりえない人もいるだろうと思った。
それは、それで、まぁ仕方のないことだろう。

 私の周りにあてはめると、一緒に暮らしている家族は、すぐに眠れるというあたりからも、十二分に鈍感力は備わっていると思う。

 私自身は、気が回らず、「鈍い」ことにかけては、人一倍だが、その「鈍感さ」で周囲の人をイライラさせているという意味では、フラストレーションを周りの人達にためさせていることが多いのかも。

 それでも、我関せずで、「鈍感力」を極めていくのは、自分の生きやすさという意味ではいいのかな。
渡辺センセイの言うように、血もさらさらと流れるみたいだしね・・・!?

 私にとっての「鈍感力」は、無理しなくて良いよ、そのままでいいんだよ・・・と肩をそっと後押ししてくれているような、そんな、とても優しい本だったことだけは確か。