ちゃりーん2007/06/20 12:34

 洗濯物を干していたら、どこからか、ちゃりーんと音がする。

 前日はいて洗ったカプリパンツのポケットに、小銭が入っていることに気付いて、出したみたら150円ある。

 しかし、150円というおつりは、昨日の買い物では、いくら考えても思い浮かばないし、ポケットに入れた記憶もない。

 全部干し終わって足元を見ると、ぬれたレシートが下に落ちていた。
開いてみると、昨年の9月8日に病院の駐車場にとめた時のもので、料金は150円である。

 さっそく5年連用日記を開けて見てみると、昨年のその日は、先月すい臓がんで旅立った家族が、最初に検査入院し、退院した日であることが分かった。

 この家族の入院時には、毎回、昼食を取ってからの退院ということにしてもらっていて、これがその最初だったのだけれども、1時半頃に行くよと言って、野暮用を済ませて病室に行ったら、すっかり服を着替えて、テレビを見ながら私を待っていたのだった。

 考えたら、この時の退院が一番元気だったかもしれない。
まだ師匠もいたしね。

 さて、ポケットに何故150円が入っていたのかは、考えてみると、1時間150円のところだったので、その金額をポケットに用意して病室に行ったのかなという気がする。

 でもその事をすっかり忘れてしまって、わざわざ財布から150円を出して支払ったんだろうね、きっと。
その後、洗濯をしてから夏服はしまったはずなんだけれど、小銭に気付かないで、そのまま片付けてしまったのだろう。

 そうそう、あの時の退院は、平日だったので、私ひとりで車で迎えに行ったんだっけ。
結構残暑が厳しくて、空調のきいた病室でずっと快適に過ごしていた家族は、帰る道々、車の中で、
「ボロでも我が家が一番いいね・・・」なんて言いつつ、帰宅したら、あまりの暑さに驚いていたっけ。

 それから、検査の後遺症も多少あって、しばらくは、おかゆしか食べなくなっちゃったんだよね・・・。
あれからさらに、三回も入院することになり、最後は肺に転移しちゃうなんて、本人は当時、まったく考えてなかったんだろうなぁ・・・。

 ちゃりーんという小銭と、一枚のレシートに、すっかり忘れていたある日の情景が、鮮明に思い出された朝でした・・・。