ダヴィンチ展2007/04/09 17:37

 友達が4月22日まで有効のダヴィンチ展の招待券を二枚くれたので、家族と一緒に上野に見に行った。

 なにしろ土曜日だったので、9時半開館の少し前には着いていようと、早目に出かけていった。

 さすがに9時ちょっとすぎの上野はすいている。
桜もところどころは葉桜であったが、まだ十分鑑賞に堪える。

 開館時間まで、券を持っている人の列に並んだ。券を持っていない人や割引券を持っている人は、また別の列に並んで、時間で切符を買ってから、私たちの列に並ぶようになっていたので、招待券をくれた友達に、しみじみと感謝した。

 開場少し前になると、係員のあとについて、4列でぞろそろと受胎告知のある本館に歩き始めた。そこでしばらく待ってから、手荷物検査と金属探知機を通るという、まるで飛行場みたいな感じのところを通り抜けて、受胎告知の部屋に入れる。

 気持ちはせくが、そこは@500円の音声ガイドを一人ずつゲットし、耳に装着して中に入る。スロープをくねくねと歩いていくと、徐々に受胎告知が見えてくるしかけになっている。

「立ち止まらないで下さい。歩きながら見てください」と係員は言うけれど、結構立ち止まって見ている人は多かった。

 まだ開場してすぐだったので、絵までは真直ぐにいけたがそこで人が団子になっている。家族とはぐれるのではと気が気じゃなかった。

 せっかくの、ありがたい絵をじーっと見ているという人も多いのかもしれないが、私は割と淡白な方で、最初のインスピレーションでざっと見るタイプ。
私の場合はこれで、もう十分。短時間の方がかえって心にしっかりと印象が残る気がする。

 何でもそうだが、やはり本物の色合いは非常にきれいで、特に赤と青のコントラストがきれいだった。
この絵の展示してあるウフィツィー美術館には、実は過去に3度行ったことがあるのだが、見たのは修復前だったのではないかと思われる。

 ダヴィンチの最後の晩餐も実物を見に行った事があるが、これもやはり修復前だったもんなぁ。修復の技術ってすごいよな・・・などと思いつつ、その部屋の出口でようやく家族と落ち合う。

 家族はNHKの日曜美術館で言っていたマリアの手の長さなどをしつこく見てきたようだ。

 メーンイベントが終わった風の「受胎告知」の本館を後にする。ここで音声ガイドも一旦返し、次なる平成館で、レシートを見せて、ここの音声ガイドを受取る。

 以前、六本木ヒルズで、ビル・ゲイツの所有するダヴィンチの、いわゆる「手稿」という手書きメモのコレクションを見たときは実物だったが、ここは複製ではあるものの、それを元に結構大きな装置が再現されている。
六本木で見たことも、今回の展示理解の役に立っている。

 ダヴィンチが左利きで、鏡文字は右手で書いていたこと。初等教育を受けずにいて、それがコンプレックスになっていたことなどを知る。

 茂木健一郎さんのダビンチの天才論を読んでいたので、ちょっとしたダヴィンチに対する知識もあり、なかなか面白く見ることが出来た。

 生前、30体以上の人体解剖をやっていたり、自然を丹念に観察してみたり。
銅像を頼まれると、それを鋳造する装置まで設計してしまったり。
本当にマルチ人間なのだが、完成しているものというのは少ないみたい。

 とにかくあらゆる事物に興味を持ち、考察することが好きだった人なのではないだろうか。「受胎告知」は確かに素晴らしかったし、この展示の大きな柱の一つではあるけれども、平成館の展示もなかなか面白かった。

 今の時代は科学も進み、当たり前のように学校で習えることも、ダヴィンチの時代ではわからなかったことも多かったんだろうし。
今生きていたら、インターネットを駆使して、絵画どころじゃなかったのかもしれないね。

 「受胎告知」は今回日本ではかなり有名になったし、「モナリザ」同様、今では、かなりダヴィンチの手を離れて一人歩きをしている感を否めないけれども、ここに若き日のダヴィンチが表現したことが、後の研究に色々と現れているというのもすごい。

 文学者は処女作にすべてが現れるというが、画家も同じなのかもしれない。
この時代の日本で、ダヴィンチのあこがれた空飛ぶ飛行機にのってやってきた「受胎告知」が見られたのは、幸せなことだとしみじみ思った。