茂木健一郎著「感動する脳」2007/04/02 10:12

 茂木さんの新刊を読んだ。

 実はある晩、なんとなく寝そびれてしまい、買っていた本書を手に取り、あともう一章、あともう一章・・・と思ううちに一気に全部、読み終えてしまった。

 PHP研究所で茂木さんが話した内容を本にしているので、分量もお手軽だし、話し言葉を文字にしているため、さらっと読める。

 この前読んだ「天才論」にしても、文字中毒の人間としては、やはり話したものをまとめているということは、それだけでちょっと物足りない感はあるけれど、それと内容はまた別物。

 おそらくは社会人を対象にした話なのだけれども、本にまとめるときに、主婦などを含めて、多くの人達を対象とするように多少手を加えたのだと思う。

 そういう意味で老若男女どの世代の方でも読んで、なんらかのエールをおくられたような気分になることは確か。

 彼の著作は大抵読んでいるので、本書も、茂木節が全体になりひびき、これといって今までと違った目新しいことはあまり書いていない気がする。

 しかし彼の著作を初めて読むような人には、いい導入になる感じだし、学生さん、仕事の人間関係で行き詰っている人、日常生活に閉塞感を感じているような人、この春社会人としてスタートする人なんかにも、ぴったりの一冊だと思う。

 ちなみに読破した翌日に会った友人に、思わずこの本を推薦してしまった。
帰りがけに一緒に書店で本を探したところ、茂木さんのコーナーがあったのには、驚いた。私が買ったのは初版だが、すでに増刷されているようで、今、本当に話題の人だし、脳に対する関心が高まっているのだなぁと実感する。

 個人的には最近、諸所の事情で、「○○が出来ない」という事が非常に多くて、それが自分の中では、ある種のマイナス思考になっていたのだが、茂木さんはそれを「ネガティブ脳」と読んで、常にリセットしてプラス思考でいこうと書いてあったのが印象的だった。

 人間関係についても、自分のことさえ分からないのに、他人の気持ちなど分かるまい・・・という感じで、思うことを伝えたら、あとは清く引く。
嫌なことを忘れる訓練など、具体的にためになりそうな事がたくさん書いてあった。

 あれもこれも自分で引き受けてしまい、まわりは何も分かってくれない・・・と、追い詰められた状況になると、人間、どんどん視野が狭くなって暗く落ち込んでいくことがあるけれど、やっぱり一度引いて、クールにいかないといけないのね。

 そういう意味で、生きていく上での指南書、実用書のような意味合いもある1冊で、今の私にはぴったりの本だったのかもしれない。