おまわりさん2006/10/02 08:28

 おまわりさんが家に来た。

 家族が玄関から呼ぶので、下に行ってみると、人の良さそうなおまわりさんが、ファイルを持って、ペンを片手に私を待っている。

 私の生年月日を聞くので言うと、手持ちのファイルのデータでは、まず生まれた年が一年早い事になっている。次に生まれ月を言うと、これまた1ヶ月早いことになっている。

「なんだ、全然違うじゃない」と言いつつ、私の口から出た、正しい生年月日にファイルを訂正していった。

 この家に住んで、もうかれこれ10数年になる私なのだが、おそらくは10数年、間違った生年月日が記入されていたって訳か。

 その間、泥棒に入られたり、凶悪事件に遭遇したことは幸いなかったわけだけれど、もしも家でそういう被害に遭った場合、地元警察にあるファイルを参照すると、新聞記事には、年齢が一つ上で、生まれ月も一ヶ月早い年齢が、私の名前と共に掲載されたのね、ふむふむ・・・と思ってしまった。

 おそらくは、おまわりさんが来た時に対応した、年配の家族が、うろ覚えの私の生年月日を言ったのだろうと思うけれど。
とりあえず訂正できてよかった。

「特に最近、何か被害にあったとかはないですね」と聞かれて、
「はい」と、返事。

 うちの辺りは、結構車も通るし、人通りもある通りなので、事件の起こりにくい場所である。高齢者が多いので、昼間も家に人がいるため、空き巣の被害なども聞かない。

 ニュースなどで、閑静な住宅街で恐ろしい事件が起こるたびに、
「この辺りで、そんな事件は起こった事がない」と近所の人達は口を揃えて言う。

 おそらくは、この世の中で一番恐ろしいのは人間なので、人間の住むところ、安住の地はないのだと思うけれど、それでも今日みたいな、人のよさそうなおまわりさんが、きっちりと地域の安全に気を配っていてくれるから、安心して住んでいられるんだよね。

 運転している時に見かけると、つい反射的にドキッとしてしまう、おまわりさんだけれど、今日はなんだか、非常に頼もしく感じられたのでした。