ペディキュア2006/07/07 08:10

 この夏初めて、ペディキュアを塗った。
色は、明るいパールグリーン。

 昔は真っ赤な色を塗ったりしていたのだが、今は、パールブルーとか黄色などといった色が、意外に綺麗で、結構カジュアルな服装にも合う事が分かり愛用している。
そのきっかけは、ネイルサロンに行ったこと。

 今からさかのぼること、かなり前になるが、私の人生最大の危機というのか、非常に大きな出来事に遭遇したのだけれど、それに向き合って、当座の対処をした後、まずは美容院に駆け込んで、髪の毛を生まれて初めて、ところどころ茶色く染めてみた。
明るい雰囲気になって、少しだけ、気分が変わった。でも、まだ足りない。

 それから、次なる事務処理などの難問に対処する前に、思い切ってデパートにあったネイルサロンに飛び込みで入り、マニュキュアを塗ってもらった。
その時の色が、パールブルーだったのだ。

「派手な色にしてください」と頼むと、 お店の人が、
「こんな色はどうですか」と聞いてきた。
青という意外性に驚きながらも、
「お願いします」と返事をして、塗ってもらった。

 その時は、これから起こるであろう様々な難関を越えていかなくちゃならない私の、小休止のような、嵐の前の静けさのような状況で、なんとか短時間でも、現実から離れて自分を取り戻す必要があったのだ。

 丁寧なお湯での、気持ちいい手のマッサージから始まって、甘皮の処理をしてもらい、綺麗に色を塗ってもらって、乾くまでの間、お茶を飲みながら、優雅に雑誌をめくって過ごした。自分のさっきまでの、せっぱつまった状況なんて、嘘のような平和な時間だった。

 ほんの短いひとときだったけれども、私にとっては、とても大事な時間だったみたい。

 ネイルサロンを出た私は、それから山のような雑務をこなしていかなくてはならなかったのだけれど、何かの力をそこでもらったような感じだったのかもしれない。

 結局、それ以降、ネイルサロンというものには、行ったことはない。
けちな性分だからかもしれない。だって自分で時間があれば出来ることだもんね。

今ではそんな大きな体験をしたことも、普段は忘れている位になった。
時の流れというのは、人間誰にも与えられている、非常にありがたい、優しいものだと、しみじみ思う。

 そして、久しぶりに塗った、パールグリーンのペディキュアに元気をもらって、梅雨明けまでの、このうっとおしい季節を、なんとか乗り越えていけそうな気がしている私である。