思いがけず温泉2006/06/13 07:59

 1泊2日の旅をした。
泊まった先は会員制のホテルで、抽選で宿泊券が当たり、それには使用期限があるため、夏休みに入る前に行くべしと、大急ぎで予約をしたのだ。

 方々を観光してから夕方に、そこにチェックインして、
「どうやら大浴場があるらしい・・・」
ということで、浴衣に着替え、タオル片手に、スリッパをつっかけて出向く。

 脱衣場にはドライヤーや、コラーゲン入りの化粧水・乳液の類が山とあるし、洗い場には、シャンプー・リンス、石鹸、洗顔料と、何から何まで完備。
サウナあり、露天あり、ジャグジーありの大サービス。

 これはこれは・・・という感じで、サウナ以外の風呂は、いそいそと、全部網羅した。
「これで温泉だったら、文句無いのに」と思いつつ、露天風呂に入っていたのだが、こんこんと沸いてくる暑いお湯、そして顔や腕に手をあてると、なんだかつるつる・すべすべに、なっている。
これは、もしや・・・。

 部屋に戻って、同行者に聞いてみたところ、
「ここは温泉みたいだ!」
とのこと。

 効能書きが風呂場に書いてあったんだそうだ。(私は目が悪いので、気付かなかった)
 宿のパンフをじっくり見てみると、あったあった、「天然温泉」の表記!

 そうか、そうだったのか。
・・・というわけで、就寝前に再度、風呂に入る。風呂から見たお月さんは、なかなかの風情である。

 露天で一緒になったおばあさんが孫に、
「○○ちゃん、うちから見るお月様は、逆の方向に見えるのにねぇ」
と、不思議そうに話している。

 逆とは、自分の家の風呂場の窓を基準にしてるのだろうか。
だとすれば、その窓が、東西南北の、どっちの方向をむいてるかによって、左右は変わるだろうに・・・と、つっこみを入れたい言葉は山のように出てきたが、じっと我慢して湯船につかっていた。

 もう一組の女性たちは、その話を聞いて
「西の方に月は見えてるはずですよ」といって、「ほ・ほ・ほ・・・」と笑っていたので、私も思わず一緒に笑ってしまった。

 翌朝は、また、寝ぼけ眼をこすりこすり、朝食前に、タオル片手に温泉へ。
露天風呂の屋根側にツバメの巣があるらしく、静かだった夜とは違って、ツバメがひっきりなしに行き来しているので、フンを落とされないか心配だったが、徐々に頭が覚醒していく中で、すがすがしい朝の空気につつまれながら、ゆったりあったまる温泉はまた格別だった。

 思いがけず温泉だったおかげで、ありがたみが倍増・・・の旅行であった。