おにぎり2005/10/20 08:40

 新米があちこちに出回る季節になった。

 我が家はここ数年この時期に、知り合いでお米を作っている人から市価よりは安く新米を分けてもらっている。精米する前の週あたりに何キロ欲しいかと注文を取ってくれる。文字通り生産者の顔が分かるし、古米を混ぜてズルしている心配がないので、安心していただける。

 うちでは普段は白米に、玄米、麦、あわ、きびなどを混ぜて炊いている。家族は白いご飯が本当は好きなようなのだが、そこは健康のため。麦など噛み締めるとむちむちした食感があり、なかなか味わい深い。古代米という、黒い米もあり、これはちょびっと混ぜただけで赤飯みたいな色がついて、なかなか面白い。しかし、毎年、新米の時期だけは白いご飯が食卓に乗ると相場はきまっている。

 新米が来るとまずやるのは、おにぎりを作ること。毎朝弁当を家族のためにこしらえているのだが、白米で作るおいしいものは、なんたって、おにぎりである。

 幼少時に母が作ってくれたのは、俵の形をしたおにぎり。子供が食べやすいようにと、この形だったのではないだろうか。中には何もはいっていない。小学生になると、ごく普通の三角形のおにぎりになる。母のおにぎりは、白いところがまったく見えないように、海苔できちきちに巻いてある。作り方としては、ざっとおにぎりにくるりと細長く切った海苔を巻いた後、白い隙間に海苔をちぎってはりつけていく方法である。握りたてのほかほかの時にこれをやり、ぎゅっと手で最後ににぎると海苔が定着する。中には、梅干とか昆布とかが入っていて、塩味のおいしいおにぎりだ。

 昔、欧州の海岸で海水浴に行った事がある。お昼に出てきたのはこのおにぎり。これを一緒に食べた人(日本人)が、

「現地の人は、僕らが爆弾を食べていると思ってるんじゃ ないかなぁ~」

といって、笑っておられた。 確かに「爆弾」という言葉がぴったりな怪しい物体である。

 入手した新米は、いつも非常にお世話になっているご夫妻に分けてさしあげている。今週末あたりには送るつもりだ。これを我が家では、「年貢米」と呼んでいる。  このご主人は、「米は太る」と、普段は白米を目のかたきのようにしておられるのだが、私が新米をおにぎりにしたという話をしようものならば、目の色が変られるようである。

 おにぎりって本当においしいよね!日本に生まれてよかった・・・としみじみ実感するのは、こんな時。